「E-E-A-T対策」がうまくいかない理由は、そもそも対策じゃないからです
「E-E-A-T対策をやろう」という入り口から進むと、たいてい空振りする。Googleが20年以上言い続けている「たった1行」を軸に、信頼の設計という大切な仕組みを整理します。シャールが現場で使っている4つの問いも公開。
「E-E-A-T対応してますか?」。最近、Webのリニューアル提案やSEOレポートでこの言葉を見かけることが増えました。「初めて聞いた」という方も、「SEO対策のことでしょ」という方も、まずは少し整理させてください。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trust(信頼性)の4つの頭文字です。Googleがウェブページの「質」を見るときに使う観点で、もともと「E-A-T」と呼ばれていたものが2022年12月にExperience(経験)が加わり、今の形になりました。
「やっぱりSEO対策の話か」と思われたかもしれませんが、もう少しお付き合いください。SEO対策よりもっと深い話をわかりやすく説明していきます。
そもそもこれ、Googleが「良いページとは何か」を考えるために作ったもので、SEO施策の一覧表とは別物です。「E-E-A-T対策をしよう」という入り口から進むと、たいてい小手先の話になって空振りします。
ビジネスデザイナーとして100社以上のWebサイトに関わってきて、検索に強いサイトと弱いサイトを分けていたのは、テクニックではなく、信頼がちゃんと設計されているかどうかでした。今日はその話を、Googleが20年以上言い続けている「たった1行」と一緒に整理します。
E-E-A-T、結局どこが一番大事なのか
では、この4文字、どこを押さえると一番いいのか。Googleの公式ドキュメント[1]を読むと、ポイントがわかります。
1つめ。4つのうち、Trust(信頼性)が、いちばんの親玉(笑)です。Googleの品質評価ガイドラインには、はっきりこう書いてあります。「信頼性は最も重要だ。信頼できないページは、どれだけ経験・専門性・権威性があってもE-E-A-Tは低い」と[2]。経験も専門も権威も、最後は信頼に乗っかって初めて意味を持つ、という構造です。そりゃそうですよね。信頼できない人が偉そうに語っても聞く気にならないですもんね(笑)。
2つめ。E-E-A-Tは、検索順位を直接決めるスイッチではありません。「E-E-A-Tタグ」みたいなものがあって、つければ上がる、という話ではない。これはGoogleが「良いページとは何か」を伝えるための“ものさし”として書いている考え方です[2]。だから、小細工で検索順位が上がるものではないです。逆に、地道にやれば必ず効果が出てくる大事な観点です。
つまり、E-E-A-Tの4文字を暗記しても意味はなく、「信頼できる情報って何だろう」を日々突き詰めていくことが大切です。
Googleが20年以上、言い続けている1行
Googleには「Googleが掲げる10の事実」という、創業まもない頃に書かれた理念があります[3]。その第1条が、これです。
ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
“Focus on the user and all else will follow.”
僕はここに、かなり本質があると思っています。E-E-A-Tって、結局この1行を「信頼」の言葉で具体化したものなんです。家を建てるのに近い。地面(土台)が「ユーザーに焦点を絞る」で、その上に建てる家がE-E-A-T。地面が傾いていたら、どんなに立派な家を建てても、家ごと傾きます。上の図が、その構造です。
おもしろいのは、10の事実の他の項目も、SEOで今さら言われていることを、20年前にぜんぶ先回りしているところです。「遅いより速いほうがいい」は表示速度の話だし、「1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番」は専門特化の話。検索対策っぽいテクニックは、たいていこの10項目のどれかに、もう書いてあります。
全部のWebサイトで、僕が最初に確認している4つの問い
ここからが、ビジネスデザイナーとしての実務の話です。僕はサイトやブログを作るとき、デザインやキャッチコピーより先に、E-E-A-Tを“4つの問い”に翻訳して確認します。表にするとこうなります。
| E-E-A-T | 事業としての問い | サイト上での現れ方 |
|---|---|---|
| 経験 Experience | 本当に自分でやったのか? | 一次体験、現場の写真、自分の言葉のレビュー |
| 専門性 Expertise | 誰が言っているのか? | 書き手のプロフィール、実績、資格、テーマの一貫性 |
| 権威性 Authoritativeness | 外から指されているか? | 取材・引用・被リンク、第三者からの言及 |
| 信頼性 Trust | 嘘や、逃げがないか? | 会社情報・連絡先・更新日・正確さ・問い合わせ導線 |
この表、SEOの話に見えて、よく見ると全部「まともな会社かどうか」の話なんです。誰がやっていて、本当に経験があって、外から信用されていて、嘘がない。Googleが求めているのは、それをWebサイトとAIが読み取れる形にすること。だから僕は、検索のためというより、事業の信頼を設計するようにご提案します。結果として、それが検索にも効く。
この考え方はぜひ今後、Webサイトを発注する際の指針にしたり、既存の自社サイトやブログの見直しや棚卸しにお使いください。
ブログが書けるようになったお客様に、僕が足してもらう「もう一枚」
お客様にブログをおすすめすると、最初の壁は「そもそも書けない・続かない」です。だからまずは、書けるようになることが先。今まで、多くの企業でブログ研修もやってきました。そこを越えた方には、検索にも効く「もう一枚」を足してもらいます。難しいことじゃありません。5つだけです。
- 一次体験を1つ入れる。調べたことをまとめただけの記事(いわゆるコタツ記事)は、経験(Experience)がゼロです。「自分で使った」「現場でこうだった」を1行でいいから入れる。ここがいちばん差がつきます。
- 書き手を、名前と顔で出す。誰が書いたか分からない記事は、専門性(Expertise)が宙に浮きます。プロフィールと実績を一度ちゃんと作ると、全記事に効きます。
- 数字と日付を具体的に書く。「最近」「たくさん」ではなく「2026年に」「30件で」。いつの話かが分かると、情報の鮮度と正確さ(Trust)が際立ちます。
- 出典をつける。外から持ってきた事実には、元のソースを添える。この記事の末尾にやっているのが、まさにそれです。
- 結論を先に書く。第1条の「ユーザーに焦点を」を一番かんたんに実践する方法が、これです。読む人の時間を奪わない。
ここがミソで、この5つは新しいテクニックを足しているわけじゃありません。一次体験は経験、書き手は専門性、出典と日付は信頼性。さっきの4つの問いに、ぜんぶ対応しています。文章に、信頼の要素を宿しているだけなんです。
ちなみに、実例を1つ。僕が参画している株式会社ニホンノチカラの代表・福本拓元さんのブログも、まさにこの書き方です。全国1,718すべての市町村を自分の足で訪ね歩く「1718ニホン探索」の訪問記で、行った街の歴史や産業を一次体験として書いています。さっきの「経験」そのものなんです。最近はAIを使って、ブログを読みながらオリジナルのご当地ソングが聴けるという工夫もしています。日本全国を行脚されていますので、もし興味があれば覗いてみてください。あなたの街にも行ってるかも!?
1718ニホン探索プロジェクト ― 株式会社ニホンノチカラ
結局、順番の話
E-E-A-T対策、と身構えなくていい、というのが今日いちばん言いたいことです。検索のためにやろうとすると、どうしても小手先になる。逆に、信頼のためにやると、結果として検索が後からついてくる。Googleの第1条が、20年ずっとそう言っています。
それと、もう1つ。中小企業や地方の事業者ほど、本当はExperience(経験)の塊なんです。現場を持っていて、自分の手でやってきた話がいくらでもある。それは、いちばん真似されにくい資産です。その経験が、検索やAIの世界でちゃんと評価されるところを、僕はずっと見ていたいと思っています。
もしこの記事を読んで、「うちのサイト、テクニックの前に信頼の設計から見直したほうがいいかも」と思った方がいれば、気軽に声をかけてください。今どこで伝わっていないのか、どの記事に経験や書き手が乗っていないのか。そのあたりを一緒に棚卸しするだけでもかなり違ってくると思います。
出典
- Google Search Central Blog, “Our latest update to the quality rater guidelines: E-A-T gets an extra E for Experience,” 2022年12月. 記事を見る ↩ 本文へ
- Google, “Search Quality Rater Guidelines”(「Trust is the most important member of the E-E-A-T family」の記述). 原文(PDF)を見る ↩ 本文へ ↩
- Google, 「Googleが掲げる10の事実(Ten things we know to be true)」. 公式ページを見る ↩ 本文へ
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